戦争は極楽の分人の成す事で無い

高木顕明の信仰告白書「余が社会主義」

明治時代、この国が日露戦争で湧き上がっていた時、和歌山県新宮市浄泉寺の住職=高木顕明は自身の信仰告白書と言える「余が社会主義」でこう伝道する。

「南無阿弥陀仏は平等の救済や平和や安慰やを意味していると思う」
「極楽世界には他方の国土を侵害したということも聞かねば、義のために大戦争を起こしたということも一切聞かれない。よって余は非開戦論者である。戦争は極楽の分人の成す事で無いと思うている」
「諸君よ願わくは我等と共にこの南無阿弥陀仏を唱え給ひ。今しばらく戦勝を弄び万歳を叫ぶことを止めよ」

ロシアにいた極楽の分人

福井新聞に掲載された記事を引用する。 ―あるロシア女性の手記 第4信 上―

二つ驚くような出来事がありました。一つは恐ろしく、もう一つは喜ばしいことです。 

一つ目のこと。職場で座っていた人たちが、私たちに降りかかりつつある経済危機のことを話しています。若い子たちが店の棚から消えてしまった商品や、ごく近い将来に消えてしまう商品を数え上げています。すると突然、一人が威勢よく大声を上げるのです。

「ウクライナにいる連中の境遇の方がもっと悪いってのが、せめてもの慰めさ」

想像できますか。ひどい。ウクライナ人が殺され爆撃を受けていて、食料も毛布もなく、破壊された自分たちの家から追い出されていることを、この人はあからさまに喜んでいるんです。

その境遇に慰めを覚えるとは、どういうことなのでしょうか。それでいてウクライナの人たちを兄弟民族などと呼んでいるなんて!

これがロシア式の兄弟愛なのでしょうか?

二つ目の印象は正反対です。(一カ月ほど前)テレビ「第1チャンネル」(公式的な宣伝放送局)の生放送で、思いがけないスキャンダルが起きました。

ニュース番組で、ロシア軍の戦功と、西側の制裁に対するロシアの勝利が伝えられていたのですが、キャスターの背後にプラカードを掲げた女性が現れたのです。大文字で「戦争反対!戦争をやめろ!プロパガンダを信じてはいけない!この連中はうそをついている!」と書いてありました。 

この番組は、数百万のロシア国民が見ています。女性は番組の編集者。英雄です!

たった一瞬、向こう見ずにも大胆極まりない行動に出たことで、ロシアの歴史に名を刻んだのです。名前はマリーナ・オフシャンニコワ。

このことは、私たちのグループに好きなサッカーチームがゴールを決めたかのような感激をもたらしめました。

彼女はその場で拘束されました。前もって自分の話を録音してありました。父親がウクライナ人で母親がロシア人。第1チャンネルで長い間働き、うそで人々をゾンビ化する手助けをしていたといいます。

デモには一度も行ったことがなく、ロシアがウクライナからクリミアを奪った時、多くの人たちと一緒に黙っていたそうです。{ロシアの反体制派}ナワリヌイ氏が収監された時も黙っていました。でも、もう黙っていられなくなって行動に出た。いえ、単なる行動じゃない、大文字の「行動」です。彼女のために祈りましょう。彼女のような人たちこそ、私たちの救いなのです。

[真宗大谷派西誓寺寺報「ルート8」245号から転載]

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