三帰依文で「自ら仏に帰依したてまつる」に続く言葉。法に帰依、僧に帰依でも同様に三回繰り返される。新年のテーマとしたい。
熊さんに遭遇したらどうする?
ついに古田刈の地にも熊さんがやってきた。中郷小学校や地区の公園付近で子熊が目撃されたらしい。
もし、熊に遭遇したらどうすればいいのだろう。長年当院の報恩講でお話いただいた泉惠機先生から教えられたことを思い出す。先生のお寺は山の麓にあり、子どもの頃から山の中が遊び場。キノコや野草の採集が得意で、マムシを捕まえてお酒に漬けて保存したり…。そんな野性的な生活現場では、猪や熊などの動物と顔を合わせることも珍しくない。
動物たちとともに
先生はこう話された。
「猪でも熊でも動物たちが人間を目にした時、何を考えるか。こいつは敵かどうか、まずその判断が下される。だから、彼らが守っている日常を壊すような強い刺激を与えないように気をつける必要がある。こちらから大きな声を出したり、脅したり、走って逃げたりしないこと」
では、どうすればいいのか。
「ぼくはあなたの敵ではないですよ。今はいつもと変わった特別な時ではありませんよ。ぼくは一緒に生きている仲間ですよ。こちらに対して何も心配することはないですよ…という雰囲気でニコニコと穏やかに接するように」
そんな先生でも、十頭を超える群れを従えた大きな猪に出くわした時はさすがに怖かったそうだ。でも「おー久しぶりやなあ。元気やったか。わしはここから失礼するけど、よろしくたのむな」みたいなメッセージを送ったら、猪たちのほうが勝手にその場から去っていったとか。
涅槃図は語る
お釈迦さまが亡くなられた時の絵を本堂に飾っている。涅槃図と呼ばれるもの。ご遺体を囲むのは弟子たちだけでなく、動物や植物も。象が鹿が泣いている…。実際にそんなことがあったのだろうか。なかったでしょう。でも、お釈迦さまがあらゆるいのち=衆生(生きとし生けるもの)を尊ばれたことを物語っているのだと思う。
まさに願わくは
できるかどうか、ではなく「願わくは」を大事にしたい。熊や猪とともに生きる道を問うことは、近隣国を敵にしない道を歩むことでもある。
[真宗大谷派寺報「ルート8」262号から転載]
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