やなせたかしさん著書のタイトル名
漫画家やなせたかしさんが東日本大震災後、九十二歳の時発刊した著書のタイトル名。
津波から生き残った「奇跡の一本松」にご自身の人生が重なる。戦争体験を通して、正義とは何か問われるようになる。そして痛感したことが、正義のための戦いなんてどこにもないこと。正義というのは、ある日突然に逆転するものであること。
戦争っていうのは、絶対にしちゃいけない。
要するに殺人だから。
戦争というのは、人をおかしくする。
どんなにいい人だって、戦場で撃たれたら、身を守るためにはこちらも撃たなければならない。人殺しをせざるを得ないわけです。
そう、あらゆる残虐行為も、すべて戦争という狂気のなせる業ですよ。
ひもじい人を助ける
では「覆らない正義」はあるのだろうか。やなせさんは出征して一番つらかった経験「ひもじさ」に重ねる。子どもたちのヒーロー、ひもじい人を助けるキャラクター=アンパンマンの誕生にはそんな背景があった。
おなかがすいたろう。
さあぼくのかおをかじりなさい。
ぜんぶたべてもいいんだよ。
あまくておいしいから
すぐにげんきになれる。
また、アンパンマンのマーチでは、食をこえて精神的・宗教的なひもじさに切り込む。
〈前略〉
なんのために生まれて
なにをして生きるのか
こたえられないなんて
そんなのは いやだ!
〈中略〉
なにが君の しあわせ
なにをして よろこぶ
わからないまま おわる
そんなのは いやだ!
〈後略〉
やなせさんは力強く語る。「一寸先は光」だと。
大谷翔平選手はグルテンフリーを実践
さて、今日多くの人を元気にしてくれるヒーローとして、米国大リーグで活躍する大谷翔平選手の名が挙げられるだろう。既に昨年を上回るペースで本塁打を量産し、絶好調だ。
大谷選手は体調の維持管理のため、食生活に対して細心の配慮をしているという。特に注目したいのが、小麦粉を原料とする食品を控えるグルテンフリーの実践である。日本では、まだまだ特別な人の特別な志向性であるかのような扱い。自分も専門家ではないから間違った認識もあるかもしれない。けれども、タバコを取り巻く環境が,、この数十年で吸う人から吸わない人を前提としたものに転換したような変化が起こる可能性がある、と感じている。
「クリアランス集中処理事業」始動に絶望感
東京の親しい住職が化学品を使わないマンションを建てた。すると、割高の金額でも化学品アレルギーに悩む人が飛びついてきた。大多数の人には無害でも、微量なのに過剰に反応する人がいる。化学品に隠された闇である。
今夏、廃炉原発から出る廃棄物のリサイクルビジネス「クリアランス集中処理事業」が本格始動しようとしている。放射性物質の被曝影響に対する鈍感さに絶望を感じているのは、私だけか。
[真宗大谷派西誓寺寺報「ルート8」279号から転載]
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